誕生日

 誕生日で書くハードルが上がっていたけど忘れそうだし気にしないで書くことにする。

 11月26日。29歳になった。午後に新宿に川瀬巴水展を見に行った。コクーンタワーに何か入り込んでしまい、たまたま学生の下校時間だったらしく大量の学生の波に逆らうことになり、気まずい思いをした。春に吉田博展に行ったのでそれと比べていろいろ思った。何か線がかわいくて建物も自然物も漫画っぽくて好き(『あれよ星屑』みたいな感じ)だけど、色合いは吉田博のほうが綺麗だった気がする。

 でも川瀬巴水のほうが応援したくなる感じがする。絶景を描くというよりも日頃の生活がわかるような題材にするところとか。私Twitterで何かいい感じの人が散歩しながら雑に投稿していく写真をみるのが好きだった。

 本屋行く。国語辞典を買い直したくて行った。岩波のやつが見た目が良いのでそれにした。帯に「日本語を丁寧に使いたい」とあり本当にそう。あと他の本も買った。

 夜は友人と中華。中華は囲むほうが楽しい。のちカラオケ。やるぞ的な選曲。紹興酒を飲み過ぎ、どう思われるか等を考えなくて、それがよかった。喉ガサガサになる。BUMP OF CHICKEN の『ロストマン』を友達が歌っているのを聴き、泣く。今なら泣かないがその時は泣いた。「破り損なった手作りの地図‪⋯」と感極まる。

 大学生みたいな遊び方だった。最近大学生みたいな生活に回帰している。しかし楽しかった。私には29歳みたいな遊び方ってわからないし、私の友達も多くはわかってないのではないか。よく言う、お金をいつもより少し豪勢に使うとかいうのは、正直言ってほんとうに楽しくないというかクソつまらない。5億とかを使うなら違うだろうけど5億は持ってない。

 昔やってた街づくりのゲームで、娯楽施設を建てると「住民による喜びのツイート風のもの」がプッシュ通知される仕組みがあった。私はそのような、娯楽施設を建てられたり、近くに行列のできる店ができたり、そういうことで喜びのツイートをするような人間になりたくない。行ってみはするだろうけど。東京タラレバ娘の新バージョンは、Netflixやコンビニの新作スイーツで満足してきた女性が主人公らしいが、そういう感じで諦めさせてくる巨大な力に負けたくはない。

 友達に祝ってもらったことで気が大きくなったな。

 11月27日。特に何もなかった。今までの食事制限が何だったのかと思うほど体脂肪率が上がったので長めに筋トレをした。立てなくなってゴロンと転がってしまうのが面白かった。

所属

朝 ささみの熱でブロッコリーを解凍してる
昼 シイタケの切れ方がキモい
夜 米たくの忘れてた

 11月25日。晴れ。28歳最後の日。「28歳最後の日」を記念日とみなし、2日連続で海鮮丼を食べてしまおうかなと思ったけど、やめた。海鮮丼にハマっていた日々を思い出すから。

 28歳最後だからといって特別に何かする必要はないと思いつつ、水族館に行こうかなと思ったけど、事前予約制になっていて、2日前までに予約してくれとのことで、諦めた。だからいつも通り。勉強。筋トレ。読書。

 私はつくづく所属することに強いコンプレックスがある。その場に当たり前に存在するということができず、その場を理解して何らかの責任を果たすことなしには、存在してはいけない・いられないような気分になる。だから私は場の維持にこだわって、ルールにこだわるんだと思う。それによって得られるのは「私は維持しようとした」という印象のみ。でもそれを欲していたんだと思う。私はそうして数々の人間関係を失ってきた。

 旧・家族のことを脳に現す度に囚われているような気がしてきて癪で、憎い相手のことは考えないようにするのが吉だと思っていて、使い込まれた奨学金を私が返済する度にイラついてTwitterに時々書き込むぐらいだったけど、私は18歳までにそういうコンプレックスというか、ただ存在するということのできなさを確信していったし、そのことは分かっておいたほうが楽だと思った。

 居場所はそこにあるものではなく作るものだという風に考えるのは、主体的でいい感じだと思ってきたしそういう面はあると思うけど、私は作りに力を入れすぎだし、力を入れすぎて作りに失敗した時にすぐ破壊するから他人に迷惑をかける。よくない。

 というわけで明日以降はそういうつもりでやっていきたい。

ささみ

朝 ささみが100gで60円台だった
昼 学食っぽいうどん
夜 食べた実感を増やしたくて、野菜を大きく切る

 11月24日。晴れ。外出せず。疲れ取れず。きんにくん曰く、けっこう食べた翌日もいつも通りに食べたほうがいいというので、ささみを食べる。ささみにしろ鶏ムネにしろ、もはや喜びや悲しみは湧いてこない。動物としてただ食べている。

 カロリー計算をしてみた(※炭水化物が少なすぎるっぽいので明日から増やす)のち勉強する。なんか転職サイトを使って転職をやるにあたり、興味のある企業に連絡をとる中で、前職がかなり引っかかるっぽいということが分かってきて、つらい。前職と同じようなのに就くのが一番いい気がする、薄々わかっていたことではあるけど。だから今日は気乗りもしないまま勉強していた。

 不安が増してきたところで筋トレ。不安にかられて筋トレするといえば映画『ムーンライト』。音楽が好きだったから流しながらやりたいけど、私は未熟だからYouTubeの筋トレの師に従って好きじゃない曲に合わせてやる。

 一通りやったらプロテインを飲んでみる。ココア味で美味しいとされていると聞いたのに、普通に美味しくない。プロテイン自体がほんとはかなり美味しくないのにそれにしては努力してるってことなんだろうけど、元を知らないからな。

 なんかダイエット・ブログだな。今日あんまり自己を見つめたくないのでこうならざるを得ない。終わり。

目白

朝 ささみ等
昼 ケーキ(堪え難き)を堪え、コーヒー
夜 おしゃれなブリ大根ほか

 11月23日。晴れ。誕生日を祝ってもらった。いま酒気帯びで、ご機嫌で日記を書いている。夜にはおしゃれなビストロに行ったが、その前は目白の周りをうろちょろした。

鬼子母神

 鬼子母神には巨大なイチョウの木があって、それから散る葉によって辺りが絨毯になっていて綺麗だった。そういう中で、七五三の子供たちが駆け回って追いかけられており、教科書で学ぶ日本的風景という様子だった。岩崎ちひろさんの絵みたいな。

 それにしても釈迦に感化されたインドの神を祀る御堂(つまり寺)というのはややこしい。どうでもいいんだろうなと思う。

壊されたアパート

 壊された建物がそのままになっている様子が好き。父親が・家父長制が憎いからか、とかいう風に気にし出すと鬱陶しくなるから、見てるだけで心安らぐことが何より重要だと思うことにする。

 これを見たあとシーシャというものを初めて吸ってきた。イメージだけ膨らんでいたので案外こんなものかと思ったし、人と会話しなくて済むから楽な人には楽なんだろうな、とか思った。また行きたくはない。香りのするものを吸って吐くだけで一人1500円なんてアホくさい。

目白庭園

 目白庭園。Googleマップを見てたらたまたま歩いている方向にあったから行ってみた。穴場っぽい紅葉スポットだった。入場無料にしては人が少なかったと思う。ちんまりした庭園ではあったけど一周していたらスッと気分が良くなるような感じだった。

 一周してると下の写真みたいな、嘘の花がちらほらあった。なんでそんなことするんだろうと思ったけど、他のものの様子を見るに、近所の子供たちのアイディアなのかもしれない。了解。

目白庭園の発泡スチロールの花
目白庭園のプラスチックの花

 こういう感じで散歩していたら、夕暮れどきになり、それでもぼんやり歩いていたら、自転車に乗った女性から急に「あそこ富士山が見えるわよ!」と言われ、自転車に乗った女性を私は走って追いかける流れになった。

 それでしばらく走って追いかけたけど、着いたところで「やっぱり曇ってるから見えなかったわ」「ほんとはこの時間にこの店の前で見えるんだけど」と言われ、去っていかれた。

 なんだったんだと思うが、私もついていったんだからかなりお互い様だと思う。昨日の面接もそうだけど、私は急にノリが良くなる時がある。考える時間がないとついていってしまう。まあ人間そういうものかもしれない。

 そのあとビストロに行った。思えば2015年にフランス旅行に行ったあと、東京に帰ってもビストロとか行ってみたいってはしゃいでいたのに、結局本日に至るまで行かなかった。ビストロは料理の間が遅いから、あんまり食べなくても喋ってればいいし、ビストロだから威圧感とかあんまりないし、楽しかった。

 このようにして一生が終わってほしいと思った。

蒸し

朝・昼 やわらか鶏むねに成功
夜 汁がほっとくとすぐ蒸発する

 11月21日。曇りのち雨。久しぶりに雨が降ったと思う。昨日のことを修正するために野菜を食べることにする。先日この記事(貧乏だから野菜が食えないとかいうのは毎晩蒸し野菜を食わないやつの戯言にすぎない・春)を読んでキャベツ等を買ってきたし準備はある。

 朝からキャベツと鶏むねとその他野菜をあわせて蒸した。おいしくなった。あと、スチーマーを洗うのがめんどくなってたんだけど、野菜のおかげで油やカスが器にへばりつきにくくなって、洗いやすくなった。やってよかった。

 食べながら昨日のことを修正するために何をするのがいいだろうと考え、お祈りされてても困るから転職サイトは見ないことにして、中山きんにくんのYouTubeを流し聴きしながら準備して、外出することにした。雨が降りそうだったので知らない駅で降りるのはやめといて、結局いつもの喫茶店。

 今日の本。トクヴィルについて。トクヴィルはフランス革命後に貴族の家に生まれた政治思想家。政治思想とか読んでこなかったのでおもしろい。

 平等を志向する社会では、個人が他人と同等の権利を持つことを主張できるけど、それは一方で他人に優越することを主張する権利はないということであり、外から自分を見つめたときに自分の代わり映えのなさに気付き、無力感に苛まれて、自分と同じ人たちを合わせた「総体」に対して権威を求めはじめる。という話から読み始めた。

 昨日の私が感じた「相手に責める所もなく、私にもないけど、私がつらい気持ちになる」ことの嫌さも近いところにあるような気がする。まだうまく言えないけど。恣意的な「総体」を見せられて、自分を強制的にその総体に位置づけさせられるような感覚があった。こう書いてみるとよくあることだ。

 こういう、日頃の嫌さが本に吸収されていくのが読書の良いところのひとつだと思う。嫌さが自分の文脈から抜きだされて標本になる感じというか。だらだら読んでるうちに気分が均されていくのがわかった。

 11月20日。晴れ。社交の予定があり朝からバナナの写真を撮りそびれた。朝はバナナで昼はうどん。でもしそに花が生えてたんでそれだけは撮った。

しその花

 今日の社交は後から考えれば映画のパラサイトみたいだった。社交することになったきっかけからして、友人の誘いで、就職の口が見つかるかもしれないよと言われてのことだったし。それでその人と一緒にある家庭に訪問することになった。

 彼らは親切に迎え入れてくれ、ごちそうを用意してくれ、庭も見せてくれた。家族のことを幸せそうに語り、当たり前のように家族のことを聞かれ、私の親が離婚したことを聞くと、眉を下げて同情してみせてくれた。嫌味じゃなく、とても親切な人たちだった。

 それに対して、みみっちい私は同情されたのを帳消しだと思ってほしくなり、そのあと初対面の相手に虚勢を張り、全てうまくいっているというふうに語ってしまった。全てうまくいっているわけではない。

 帰り、いただいたお土産を提げながら、そういう自分について思い出してしまって嫌悪した。誘ってくれた友人がいなくなると抑える必要がなくなり、私は一生こういう構造に気付いて戦いたくなる自分に傷つき続けるのかとか、何もうまくいってないわとか、落ち込むのに歯止めが効かなくなって、家に着いたら、布団を入れてるところに顔を突っ込んで泣いた。しばらく泣いたら元に戻った。

 というわけであまりいい日とは言いがたいけど、昼ごろ、集合時間よりだいぶ早く着いてしまいそうになったので、途中下車して何駅か歩いたことがあった。それはとてもよい時間だった。一生散歩だけしていたい。かわいいハトの写真で終わりです。

ハトのモニュメント
ハト

お湯

朝 バナナ
昼 うどん
夜 うどんとおにぎり

 11月18日。曇り。今日は休む。起きてバナナ食べて筋トレ。背中の汗かくやつはやらない。プロテインあるけど不味くて飲まない。

 外出。1時間ぐらい近所を散歩。都市のお買い物ゾーンにいるとお買い物しなければならない気がしてきて、嫌なので、お買い物ゾーンを避けて歩く。避けて歩いてるうちに首都高のそばに着くことが多い。首都高って脈っぽいし龍っぽいしかっこいい。

 歩くの飽きたら喫茶店。隣の隣に座っている若者ふたりが政治談義している中で『みんな政治でバカになる』を読み終わった。「」とか引用が多いけど、引用された文章は面白いし、『差別は〜』とか雑誌記事を読んでいたこともあり、内容はつかみやすかった。正直タイトルで一瞬買うのためらったけど、文章はずっと丁寧だった。

 主旨は、左派・右派などがそれぞれ作っている「道徳部族」の対立がどのように生まれていて、それをどのように乗り越えていくか、というところではないかと思う。

 私は最近、SNS上での政治運動などをどう把握して、どう関わっていったらいいのか不安でイラついていたんだけど、それに対してひとつ、人をバカにしない形での軸をもらえた気がする。“バカの居直りでもなく、シニカルな冷笑主義でもない” 態度をめざすこと。勉強になるだけじゃなく、気持ちとしても読んでよかった。

 夜はファミレスで雑炊を食べようとした。ドリンクバーも頼み、お湯を飲みながら、前の道路が揺れると店も揺れて、それがいいわねとかってしみじみ楽しんでいた。

 でも1時間待っても雑炊が来なくて、聞いてみたら注文が通ってなかったので、もう待てない気がして、キャンセルして帰ってきた。なんかすごく深々とお辞儀されて、大丈夫っす大丈夫っすと言って、店員さんにさりげなく出口まで誘導され、出てきた。しかし空腹でたまらない。それでコンビニに行ったにしては理性的な食事だった(うどんとおにぎり)。

 明日は家で過ごす。

B

朝 柔らかくない
昼 ジンラーメンうまい
夜 カボチャ等の味噌汁

 11月17日。晴れ。最近ずっと晴れてる。今日は外出せず。ずっと転職サイトに命じられるままに志望動機を書いてた。電話もあった。

 まず嫌な電話。けっこう前に、派遣サイトAに登録してみて一つ選んだら、なぜか派遣サイトBを介する必要があることになり、そしてそのままBから電話が来て、うわめんど‪⋯と思って登録を進めてなかった、ということがあった。

 今日そのBから再び電話が来て、登録してくれてないじゃないですかっていう連絡だった。しかもお前行動遅いよみたいな、ハナから不機嫌そうな感じ。

 びっくりしたので相手に合わせて私が登録に関する質問をしたら、「いや・・・・・・あの笑」みたいな反応から始まる。そのあともしぶしぶ答えてやるみたいな態度。今どき中学生でもやらない喋り方。それに電話越しにときどき深めの呼吸が聞こえてきて(えっタバコ吸ってない?)っていう疑惑まであった。結局「あっ分かりましたやっときます〜」と切って、Bの諸々の登録を解除した。ナメやがって。

 ムカつくわ〜と思ってたら、今度は溌剌とした若者から電話。電話に必要ない大声で「こんにちはッ! 転職サイトで登録してくださったようでッ!」と言ってきた。一人称が「自分」の人で、ハキハキ説明してくれるのでなんかさっきの反動ですごく嬉しくてウンウン聞いてたら、そんなに行きたくないとこなのに面接することになってしまい、「これ自分の携帯なんで、場所わかんなかったらここ電話してくださいッ」と切られた。なんか勢いで押し切られてしまった。

 いきなり迫力ある感じで来るとびっくりして相手に合わせてしまう。これは相手のせいにばかりはしていられない。もっと上手くこっち側に傷のない形で受け身を取りたい。

 あと文句ばっかりのようだけど、転職サイトで転職先を探すようにするとTwitterやYoutubeまでもが隙間から就職を勧めてくるようになった。パソコンの天才たちが、何かを「入れ」たらなくなるよと言っているのは知ってるけど、めんどそうだしやる気にならない。それなら根本のSNS断ちをやったほうが楽だと思ってしまう。

 それで、まさにこういうことをやる気のない人間について、たまたま読み出した『禅とオートバイ修理技術』って本に書いてあるっぽい。以下引用。

 “彼らがテクノロジーに対して反感を抱いているように見えるのは、実は孤独な群衆の一人になり下がってしまうことに抵抗しているからなのだ。”

 “結局私たちは、このテクノロジーというものによって、自分の土地に住んでいながらなぜかよそ者に仕立て上げられてしまったのである。”

 このあときっとこういうこと言う人を説得する話が展開されていくのだと思うので楽しみ。

朝 バナナ
昼 鶏むねと玉ねぎのコンソメスープ
夜 だしと野菜と鶏むね

 11月16日。晴れ。二度寝して、人の皮を剥ぐ仕事につく夢を見て、嫌で起きた。生理。2, 3週間前から鉄分をとるようにしてて、クラッとする感じは減ったような気がする。高校生の時なんか生理のたびに貧血で倒れてたけど、あの時から鉄をとるべきだったんだろうな。

 今日は昨日の食事をふまえた食事ができたと思う。蒸した鶏ムネが、生のをいきなりスープに入れるのよりはおいしいことがわかって嬉しかった。

 あとは就職の諸々をチンタラとし、勉強もチンタラやり、夜にはボランティアに行った。そこの人たちからなんか見慣れられてきて、最初よりも目が合うようになった。目を見ろと思うわけじゃない(私も見ない)けど。場に存在してるなと思う。

 帰りの風景が、ちがうけど大豆田とわ子のエンディングの風景っぽいので、その曲を聴いて帰った。