天かす 戦意

 10月16日。曇り。7時に起きて走る。雨降ってたからダッシュで10分だけ走り、疲れ切る。寝転がりだらだら昨日までの日記を書く。途中までは成田空港から東京駅に向かう高速バスのなかで書いてた。

 村上春樹の『職業としての小説家』を読了。読んだことある内容が多かったし肝心の小説の技法にはあまり興味がない。あえて買う必要はなかったかもしれない。でも「自分や他人の心の深い闇に迫る作業をするなら肉体的な整備も必要だ」という話は、小説家になりたいわけじゃない私にも重要だった。

 体力づくりと思って筋トレやストレッチは意外とほぼ毎日してるけど、有酸素運動は全然足りないと思う。肥るだけだと思ってたけど頭にもよくないんだな。それはそうだわ。今日は10分でも走ってたから、共感側に行きたくて頭が普段よりも大きく共感した感じがする。そういう高まろうとする動きが自分のなかにあることは少しうれしい。

 胃が気持ち悪い。今週は毎日揚げ物と酒をいただいていて、帰ってきた金曜の昼夜はバナナだけにしたのにまだぜんぜん気持ち悪い。だからうどん。福岡空港で買ってきた茅乃舎だしでうどん。あと塩昆布キャベツ。天かすの多さとか胡麻油に気づかれたら自業自得ですよねって論破されそう。天かすがグズグズになる様子を久しぶりに見たかったから。

 ずっと味の濃ゆいものを食べてたから出汁の味が最初はしなかった。最終的には白だしとか入れて味がした。気になって “出汁 味しない” で検索したら、「スーパーにある顆粒だしばっか使ってると味覚障害になるわよ!」っていう記事が出てきてそこまで言われるとめんどくさいなと思った。食べ終わった後に出汁の効力がじわじわ感じられてきて、ホッとした。

 あとは中村哲さんがインタビューされた本(『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る』)を読んでた。おもしろい。中村哲さんを起点にするなら福岡にも興味もてるかも。中村哲さんって火野葦平(戦時中にどちらかというと戦意を高揚させるタイプの小説家だった人)の甥らしい。知らなかった。こういう結びつきを知ってその人をとりまく文脈が増えていく感覚が好きなんだけどゴシップ好きと大差ないのでおおっぴらには言えない。

 今日は旧家族がらみで嫌な感触があり、できることなら外から見てたいと思った。

福岡4, 5日目

 10月14日。ずっと寝ていたし猫と遊んでいたので書くことがないといえばない。いま猫は3匹いる。そのうち最も若い猫がほんとうに元気で、他の猫たちと一緒にじっとしてはいられないようだった。私がペンを使おうとしたらペンの蓋を狙いはじめ、私が髪を結ぼうとしたらヘアゴムに噛み付いてくる。そういえば若くない猫2匹も初めはそうだった。私の手が傷だらけになっていたのを思い出す。

 まあ若い猫はある程度遊んだら飽きてどこかに探検しに行くので、そうなれば私は老いた猫たちをダラダラなでつづける。

 老いた猫たちには楽しい思い出がたくさんあるし、暗黒の中高時代、彼らには関係のないことで嫌になるたびに私は猫から勝手に生きる活力をもらっていた。

 そういうことを思い出すから、15歳のときの私、22歳のときの私、今の私が重なりながら撫でているような感覚になる。今の私のつらさって15歳のときとそんなに変わらないかもなとか、定期的に同じようなつらい時期きてるんだなとか、私がんばってきたなとか、自分の進んできた距離や今の位置を感じさせられる。

 また、猫が老いていくことについて受け入れたくもなる。毛がなでつけられたままになっている。毛が減っている。皮膚も少し柔らかさが失われている気がする。目が濁っている。そういうことは見て分かってもそのまま受け入れることは難しい。他者のどうしようもないことは簡単に受けとめてしまえる気もするし、永遠に納得がいかないような気もする。老いるのは若いのよりかっこいいが、死なれるのは嫌だ。

 10月15日。朝に出発し昼には成田空港着。福岡空港では買いたい本がなかなか見つからなかったけど村上春樹の『職業としての小説家』を買って読む。村上春樹はデビューするまで四六時中働いていたという話は聞いたことあったけど、改めて励まされた。なんでもいいのかも。飛行機は最後に出た。急いでないから。

 昼はバナナ。夜もバナナ。胃にやさしいものを食べたかった。この1週間お酒を飲みつづけていたので。夜は「死にたい」か「どうでもいい」かなら死にたいのほうがマシだと考え始めて自分では腑に落ちた。

 noteじゃなくてもスマホでも書けるようになってきた。noteは多くの人が見てくれるのがうれしかったし人の日記を読めるのがうれしかった。それにTwitterとはちがう種類のゆっくりした関わりがnoteにはあった。しかし最近は純粋に日記を楽しんではいられなくなった。ひとまずnoteでお金を払って購読してたのをやめようと思う。

10/7,10/8

 10月7日。曇り。朝はハンバーガー。昼はフルグラ。夜は干し豆腐の麺とか鶏の唐揚げ。面接に向けて生活のすべてを選択していった日だった。スーツが久しぶりだったからソワソワした。明らかにウエストがキツくなってる。ストッキングで足の色が白くなりすぎてる気がする。化粧濃すぎる気がする。面接が終わったあとコインロッカーを開いてトイレに駆け込んでスーツを着替えた。じっさい何もかも恥ずかしかったけど、くじけず最後まで強気っぽくふるまった。涼しかったのにかなり汗をかいてたから涼しくてよかった。緊張がとけて駅のホームでお茶を買って座ったりした。帰宅したあとはサンダルに履き替えて中華料理屋に行った。久しぶりに行ったら店員さんが使う日本語の範囲がかなり広がっていた。ずっと健康でいたいなと思った。地震にびっくりしたけど大丈夫だった。

 10月8日。晴れ。朝はフルグラ。昼は海鮮丼。夜はフルグラとサンドイッチ。午前中は昨日のことで疲れてた。夜に「今日はもう布団に入ったら5秒で寝られる!」と思うことあるけど、朝からそれだった。でも疲れたなー、ってのを続けてると老化を自覚させられてきて嫌だから、昨日の私は何がうまくいかなかったのか反省することにした。反省には苦痛が伴う上に部屋に1人だったから、うめきながらの反省だった。夜にはボランティアに行ってきた。お互いに「よく知らないけど仲良くしといたほうがいいだろうな」って思ってる中で人と関わると社会に対して健全な気分になる。なった。昨日は面接だから仕方ないんだけど、相手は仲良くしといたほうがいいって思わなくていい状況だったので、いたたまれなさがあった。だからそれで失われた部分が取り戻された感じがした。

ランニング キング

 10月4日。晴れ。朝はフルグラ。昼は明太うどん。育ててるシソを刻んだ。もっと細切りの方がよかったかも。夜は米と味噌汁と納豆。サバ缶の味噌汁おいしい。サバ缶を味噌汁に入れるのは豪勢すぎる感じがするけど、時々爆食いしてしまうよりは持続可能さに気をつけて食事をやっていくべきだと思ってるから良い。

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 今日は日曜日にランニングシューズを購入したので、それを使ってランニングをしてきた。初めて。走ったのは15分だけだった。走るのに慣れてなさすぎて姿勢とかがよくわかっていないから、つい人目を気にしてしまう。駅前を通るときは恥ずかしくてなんとなく歩いてしまう。近くのランニングコースに辿り着いてもベンチで座ってる人がこっちを見ている気がする。こういう風にソワソワするの久しぶり。大学生のはじめの頃は一人でカラオケにも行けなかったのを思い出した。

 でも朝走ってきたという事実が私を元気にしたので、それはいいことだった。部屋に光が差してきたらいつも少しうんざりしてるけど、それがあんまりなかった。麺類とかの重い食材の買い物もしてきたし、勉強もそこそこ進んだし、嫌な連絡をするのも愛想よくできたと思う。

 いつか古本屋で買ってた、昭和13(1938)年1月発行のキングっていう雑誌を見てたら「小心恐怖症」を克服するための「短日で性格一変し 快活、大胆となる療法」を新発見したとあり、なんかTwitterで自己啓発書のことが話題になってるのを思い出した。月並みに、人の悩みって変わらないんだな〜って思ったし、私が直面してる問題にも、同じように直面してきた人も無数にいるんだろうなと思えてきて、気分がなんかそういうふうに盛り上がってきて Oasis の the Masterplan を聴いた。the Masterplanって自己啓発したい人たちみんなで歌うと泣けてきていいんじゃないか。私は泣けてきた。

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