黄色 読んだ本

 10月27日。天気不明。晴れてはなかったし雨降ってたような気もする。朝昼は米と卵とウインナー。夜はファミチキとサンドイッチ。養生するとか言ってたのに。気が立っているとこういう選択をしてしまう。そんなことをするから夜になっても気が立ったままなんだろうな。排他的な行動が正しくないのかについてぼんやり考える。

 ずるずる読んでいた本が何冊か読み終わった。同時並行的にちまちま読んでたのが一気に終わるときってある。以下感想。

 中村政則『戦後史』(岩波新書 2005年)

 戦後史に急に関心が湧いて読み始めた。筆者の体験をもとに戦後史を語るもの。いきなりガッシリした解説から歴史を学ぶのが苦手なので、玉音放送がよく聞こえなかった話から始まり、わだつみの会で経験したことなど、本人の体験が率直に書かれていて何となくつかめたような気分になった。やっぱり人の話から入るほうが好き。始めにこれを読んでよかったと思う。

 石原享一『戦後日本の経済と社会』(岩波ジュニア新書 2015年)

 経済史が知りたくて読んだ。上の戦後史みたいに語るというよりは、羅列するって感じだった。高校政経で学ぶ内容をあんまり上回らなかった感じがするし、これで戦後経済史が深まったって感じはしない。でも有名な企業人って私は小倉昌男ぐらいしか知らないので、それらが多数紹介されててフーンと思った。基本的に筆者の人は反戦・反原発みたいなんだけど、最後の章で河野太郎の反原発の表明を評価していて、夢の跡‪⋯と思った。

 中村哲・澤地久枝『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る』(岩波現代文庫 2021年)

 前に『アフガニスタンの診療所から』を読んでたのでそれと重複する部分も結構あったけど、ペシャワール会の活動以外のご本人の来歴をこの本でたくさん知ることになった。火野葦平の甥であったとか姉の名前は共産党から来ているとかの関係の話も面白かったけど、そんなのより、撃たれた足を自分で治療したこととか、息子が死んでしまったこととか、馬に殺されそうになったときようやく楽になれると思ったのに助けられたというような、そういう話が心に来た。長生きして欲しかったとか思ってたけど浅はかだったな。

 辻田真佐憲・西田亮介『新プロパガンダ論』(ゲンロン 2021年)

 辻田真佐憲さんの伊藤隆さんへのインタビューが良くて買ってみた。本の見た目もかわいいし。現代日本におけるプロパガンダの話。情報戦略ってどう効果があるとされているのか気になって読んだ。今のところ客観的に効果を計測するのは難しいっぽい(選挙に行けという広告は効果があった例があるが、●党に入れろというのは効果が分からないらしい(それはそうだ))けど、やった上で選挙がうまくいったらもうやめられない、みたいなところがあるっぽい。なんか対談が進むにつれてプロパガンダの話から「情報」の話にブワッと広がってる気がしたけど、私は現代の話を歴史と紐づけて語る行為が好きなので、読んでて楽しかった。

ネギ

 10月20日。晴れ。いい天気。8時に起きる。今日はちゃんとしようという気分がみなぎってくる。映画をみた翌日ってこうなる。翌々日には無くなってることが多い。やる気に満ちてバレットジャーナルとか出してくる。最後の更新日は10月7日。これは久しぶりの面接に失敗してきた日。更新する。従来通りやることを刻みまくり、やった感をかさ増しさせる。こういうことをしてると「こいぬ」的結末を想像する。

 朝はバナナ。昼はラーメン。夜は米と味噌汁と納豆。ネギが萎れてきたためできるだけ消費する。薬味のネギを入れることで、前日ハンバーガーを食べた者として、健康に気をつけている感じが出せたと思う。ネギ納豆おいしい。タレを使わない側の人間になった。米が少ないのはたまたま。でもこれで十分だったような。

 こないだ実家に置いてあって読んだ、58歳女性のライフスタイル例が書いてある本に、「友人と会う時だけは少し豪華なものを食べる」というのがあった。良いと思った。私もそれに倣いたい。内心(食事しか楽しみがない私がそれを質素にして生きてゆけるはずがない…)と思ってるけど、倣ってみたい気がする。ちょうど胃腸を壊したし、この養生の流れを大事にしてもいい気がする。幸せな食事とは必ずしも油や塩や砂糖がいっぱい入ってるものをたくさん食べることではないはずだから。

 今ひとつひとつの社会的失敗の精神的打撃がでかすぎて、逆に良い機会なので、その大波をしのぐための方法を模索したい。とりあえずこの食べすぎるのをやめてみるのが一つ。

 もう一つは、最近また青空文庫を読むようになった。前まで宮本百合子の書いたものばっかり読んでいたけど、今はランダムで出てきた豊島与志雄(1890-1955)という人の小説にハマっている。短くて読みやすくて少し不気味なのが多い。都市社会でヒヤヒヤ生きている私にしみる。川勝徳重さんの漫画っぽくもある。無料で読めて誰も困らないわけだし、今ハマっているものに飽きても、ランダムを頼りに知らない短い小説を読んでいきたい。

BOOKOFF 『DUNE』

 10月19日。雨。気温が低いのでセーターをおろしてシャツと着る。自分自体がベースとして明るくないので寒いとみんな静かになるから寒いのが好きなのかもしれない。元気であるだけの人から元気をもらうことってそんなにない。

 昼ごはんは茹で卵2個。夜にハンバーガーを食べる予定があって、そういうときは前後の食事を控えるものらしく、控えてみた。茹で卵2個。しばらく養生してたので十分。でも葉物とかも食べるべきだったかも。夜ごはんはバーガーキングでハンバーガー。照り焼きバーガーがモスバーガーより美味しい。肉は食べ応えがあるほうがいい感じがした。

 起きたら17時ぐらいまでは勉強してた。そのあと出かけて移動。BOOKOFF行った。BOOKOFFってすばらしい。最近まで立ち読みを禁止してたこともあるのか人も少なくて良い。北村紗衣『批評の教室』はジュンク堂で見たばっかりだったので後ろめたかった。しかし無職にとって節約は必要。他のもお得だった。

 グランドシネマサンシャインで『DUNE』みた。知らないけど、この原作の映画化にいろんな監督が挑戦したらしい。私は今回のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のだけ観た。IMAXで観てよかった。かっこいいマシンを見せる時には大画面、きれいな砂漠の風景を見せる時には横長、みたいな使い分けが頻繁になされていて、そういう、統一感を大事にするよりもかっこいいものをよりかっこよく見せたいっていうの良いなって思った。私もそうありたい。

 あとどうでもいいけど、装飾須恵器とか好きそう。ヴィルヌーヴ監督に見てほしい。当然知ってるだろうか。マシンの形がちょっと面白いんだよな。とにかくよかった。観終わったあと雨は止んでたのでしゃべりながら歩いて帰った。映画を観た後はあっさり眠れる。

天かす 戦意

 10月16日。曇り。7時に起きて走る。雨降ってたからダッシュで10分だけ走り、疲れ切る。寝転がりだらだら昨日までの日記を書く。途中までは成田空港から東京駅に向かう高速バスのなかで書いてた。

 村上春樹の『職業としての小説家』を読了。読んだことある内容が多かったし肝心の小説の技法にはあまり興味がない。あえて買う必要はなかったかもしれない。でも「自分や他人の心の深い闇に迫る作業をするなら肉体的な整備も必要だ」という話は、小説家になりたいわけじゃない私にも重要だった。

 体力づくりと思って筋トレやストレッチは意外とほぼ毎日してるけど、有酸素運動は全然足りないと思う。肥るだけだと思ってたけど頭にもよくないんだな。それはそうだわ。今日は10分でも走ってたから、共感側に行きたくて頭が普段よりも大きく共感した感じがする。そういう高まろうとする動きが自分のなかにあることは少しうれしい。

 胃が気持ち悪い。今週は毎日揚げ物と酒をいただいていて、帰ってきた金曜の昼夜はバナナだけにしたのにまだぜんぜん気持ち悪い。だからうどん。福岡空港で買ってきた茅乃舎だしでうどん。あと塩昆布キャベツ。天かすの多さとか胡麻油に気づかれたら自業自得ですよねって論破されそう。天かすがグズグズになる様子を久しぶりに見たかったから。

 ずっと味の濃ゆいものを食べてたから出汁の味が最初はしなかった。最終的には白だしとか入れて味がした。気になって “出汁 味しない” で検索したら、「スーパーにある顆粒だしばっか使ってると味覚障害になるわよ!」っていう記事が出てきてそこまで言われるとめんどくさいなと思った。食べ終わった後に出汁の効力がじわじわ感じられてきて、ホッとした。

 あとは中村哲さんがインタビューされた本(『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る』)を読んでた。おもしろい。中村哲さんを起点にするなら福岡にも興味もてるかも。中村哲さんって火野葦平(戦時中にどちらかというと戦意を高揚させるタイプの小説家だった人)の甥らしい。知らなかった。こういう結びつきを知ってその人をとりまく文脈が増えていく感覚が好きなんだけどゴシップ好きと大差ないのでおおっぴらには言えない。

 今日は旧家族がらみで嫌な感触があり、できることなら外から見てたいと思った。

うまかっちゃん 青空

 9月20日。晴れ。朝はフルグラ。昼はラーメン。夜は米と味噌汁と納豆と冷食の唐揚げ1つ。昼はハムとゆで卵のためにわざわざ包丁を使う丁寧さを発揮した。丁寧にやるといいことした気分になる。うまかっちゃんを東京に来てから初めて食べたけどおいしかった。これまで味覇と醤油で適当にスープを作ってたし、豚骨ラーメン自体久しぶりだった。ビリッと来た。夜は米に久しぶりに十六穀米の素を入れたのでよかった。なぜ入れなくなったのか思い出せない。1パック全部入れたら穀が多過ぎて緊張するので半分にしたら安心した。冷食の唐揚げたまに食べるとおいしい。

画像1
画像2

 昨日やる気があったので今週の目標を立てた。スマホを触るのを音楽などを含めて3時間以内にすることと午前中に散歩すること。前者はこれからの時間が勝負ではあるけど、今のところどちらもできている。散歩はついでに買い物もした。ちょっと遠いところにある安い八百屋に行ったけど、やはり葉物が高くピーマンが安い。並んでる2人ともピーマンを持ってた。

 あとはSpotifyの勉強ができる音楽リストをテレビで流しながら本を読んだり就職に向けての課題をやったりした。勉強ができる音楽に選ばれたアーティストの人はうれしいんだろうか。確かに気を散らさずに勉強しやすくなるからありがたいけど。就職したくないけどしておきたい。疲れてアップルパイアイスを食べておいしかった(ので描いた)。

 Twitterの代わりに読んでる橋本治の『青空人生相談所』が楽しい。青空っていうから爽やかな回答なんだろうと思ったら、言ってみれば最高気温38℃の日の青空だった。厳しい。「人よりも作業するのが遅い」という既婚女性に「離婚しなさい」と言ったりする。でも親切な厳しさで、相談主が言い返したくなるのを待っている感じがある。こういう会話を久しくしてないな。

タチアオイ 義憤

 9月17日。曇り。朝はフルグラ。昼は冷食の坦々麺。夜は米と味噌汁と豚キムチ炒め。辛いものばかり食べてると体に良くないとされている。

 今日は朝7時に起きたらすぐ外出して、郵便ポストに行くついでに散歩した。この時間に外に出るの久々で、この時間はスーツや制服姿の人ばかりだと思い込んでたけど、そうじゃない人も半分ぐらいいた。近所の人がタチアオイをついに諦めたようだった。どういう理由か知らないけど見るたびにタチアオイが縮められていたのだ。散歩の楽しみの一つだったので少し寂しい。

 花といえば9日の重陽の節句で菊の花を部屋で挿してたけど、もう完全に首が折れている。切り花って2週間ぐらい持つと聞いた。切り花ってよく知らないのに調べもしなかった。

 あとは人から課題が出されたので課題のために本で調べた。課題に取り組むのは私の心にとって優しいと思えるし、認めたくないけど私は仕事してる方が楽だ。

 読んだ本の話。長くなった。

 大沼保昭(聞き手:江川紹子)『「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて』を読み終わった。知らないことが多くて良かった。著者は村山内閣のあたりでアジア女性基金の設立等のために尽力した人物。最初の東京裁判についての話から、いきなりまどろっこしい印象があったけど、後書きに色々な専門家に読んでもらって出た意見を最大限尊重したと書いてあって、まじめだった。

 内容は第二次世界大戦で起きた残虐行為がどのように捉えられていったか・補償されていったかを平易に整理して、現代の話題も出しながら「よりましな悪」を求めて現実的に積み重ねていく必要性を説くものだった。著者の主張はたぶん今風に言えば偏っているけど、その自覚もあってか、できるだけ反対側の意見を取り込もうという意識があるように思えた。私はそういう人いいなと思う。それでもAmazonレビューは支持と不支持に割れてて、真ん中でいるのって難しいんだなと改めて思った。

 立場を二つに分けてどっちかでいることが、選んだ責任を自分で引き受けているようでかっこよく思える・安心できるというのは、ここ数年で気持ちとして分かるようになった。私が『身近に”当事者”がいる側』になったからだ。雑にその話題に触れられようもんなら私は義憤でブチ切れられる。私は「それが少しでもあの人のためになるなら」と簡単に切れてしまえる。

 さらに悪いことに私は、そんな義憤にほとんど関係がない人との会話のなかで、私がその立場であるってことを早めに示すことがどういう影響を及ぼすか、しばらく想像してこなかった。こんな社会が許せないし示すことが何より必要なのだと強く思ってたから。でも以前あやすように受け流されて衝撃だった。示したところで聞いてもらえなかったら意味がない。

 じゃあどうすればいいんだろうなってときに今回読んだ本の態度は参考にできるのかもしれない。つまり「向こう側」の理屈を自分で丁寧に説明できるようになってみたらいいのかもしれない。嫌だな〜。